漫画に特有な擬音語など、語りでの音声化がどうしても難しい箇所の他は、
でき得る限り原作に忠実に再現したいと思っています。
映画版ナウシカしかご存じない方をはじめ、一人でも多くの方にお届けできたら幸いです。
よろしければ気長にお付き合いくださいませ。

nausicaa 『風の谷のナウシカ』第4巻 - 20        

そのとき、船の真下から、浮き砲台の火を追うようにして、まるで空に巨大な鎌首をもたげる巨大な蛇が巨大な顎をパッカリと開き、凄まじい勢いで伸びてくる粘菌の胞子の蔓、浮き砲台は間一髪で、蛇の顎から、粘菌の蔓が呑み込もうとして閉じる寸前で、上空に逃れた…

原作:宮崎駿 / 語り:物語屋


nausicaa 『風の谷のナウシカ』第4巻 - 19        

「おはなし、判ります…」突然、ナウシカの言葉が、チャルカの心の中に聴こえてきた、ナウシカの肩ではテトが小さな手で小さな顔を洗っている、ナウシカはチャルカに話を続けた、「それを渡すくらいしか私にできることがなかったのです」…

原作:宮崎駿 / 語り:物語屋


nausicaa 『風の谷のナウシカ』第4巻 - 18        

一向に埒があかなかった、なおも自分たちの大発見を喜び合う博士たちにチャルカは苦虫を噛みつぶした顔で背中を向け、実験室を後にする、廊下を戻りながら、「大発見だと? たわけめ、これ以上国土を荒廃させて何が勝利だ!」…

原作:宮崎駿 / 語り:物語屋


nausicaa 『風の谷のナウシカ』第4巻 - 17        

ナウシカは思わず口を抑えた、そうしないと嗚咽を漏らしてしまいそうになる自分に、「落ちつくんだ、ナウシカ」言い聞かせるように、しかし、次に今度は目に涙が、「泣くな、今は泣くな…」メーヴェに向かって踵を返しながら、「なんとかしなければ…」…

原作:宮崎駿 / 語り:物語屋


nausicaa 『風の谷のナウシカ』第4巻 - 16        

メーヴェの上から、ナウシカもチャルカも、はっきりとそれを見た、何本もの触手が雨のように地上へ、そしてその触手は、空で噴煙を上げつづける爆発を離れ、一つに固まって、巨大な根っこのように、「生き残った部分だけ地上に降りる気だ!」…

原作:宮崎駿 / 語り:物語屋


nausicaa 『風の谷のナウシカ』第4巻 - 15        

いつの間にか闇の渦はナウシカとチククをすっかり囲みつくし、「お前のあたたかい心臓をこの手で握りつぶしてやる」その暗い触手をさらに伸ばしてくる、ついに靴の先に触れる、足もとから這い上がってくるのを感じながらナウシカは、「おびえたら、くわれる…」

原作:宮崎駿 / 語り:物語屋


nausicaa 『風の谷のナウシカ』第4巻 - 14        

突然、蟲が、周りを飛んでいたすべての蟲たちが、巨大な顎を開き、牙を立て、頭を上にもたげたかと思う間もなく、ものすごい勢いで上空に向かい雪崩を打つように雲の中につっこんでいく…

原作:宮崎駿 / 語り:物語屋


nausicaa 『風の谷のナウシカ』第4巻 - 13        

「たとえ私たちが汚れそのものだとしても、なぜそのために木々や鳥や蟲たちまでが苦しまねばならないのでしょう、蟲たちだってたくさん死にます、王蟲たちの苦しみや悲しみは誰がつぐなうというのです」…

原作:宮崎駿 / 語り:物語屋


nausicaa 『風の谷のナウシカ』第4巻 - 12        

「クシャナが歌ってやがる!?」塹壕の外は何も変わっていない、次から次へと蟲が飛び交い、引き裂かれた人間の体が時折降ってくる、それが目に入っているのかいないのか、ただ歌を歌いつづけている、クシャナ。「冗談じゃねぇ、こんなときに…」

原作:宮崎駿 / 語り:物語屋


nausicaa 『風の谷のナウシカ』第4巻 - 11        

血まみれにひしゃげた頬にクロトワはニヤリと笑みを浮かべ、「くたばってたまるか…」、クシャナは、クロトワのボロボロの体を肩に担ぎ、背中に抱きあげた、右手に剣を握ったまま、再びクシャナは走りだした…

原作:宮崎駿 / 語り:物語屋


nausicaa 『風の谷のナウシカ』第4巻 - 10        

「殺してください、どうせこの傷では助かりません」この程度の芝居を芝居と見抜けないクシャナはやはりいつものクシャナではない、クロトワは、「それでいい、蟲が来ればまだチャンスはあります」と心の中でつぶやきながら…

原作:宮崎駿 / 語り:物語屋


nausicaa 『風の谷のナウシカ』第4巻 - 9        

意識の片隅でクロトワは、重コルベットの指令室のハッチが開く音を、微かに聞いた、横に立つクシャナの表情がさらに険しく変わった、クシャナは、右手に構えた剣を、ぎゅっと握りしめた、睨みつけて見上げるその姿は…

原作:宮崎駿 / 語り:物語屋


nausicaa 『風の谷のナウシカ』第4巻 - 8        

重甲コルベットは、元の機体が見えないほどに、全身を蟲の群れの固まりに羽交い締めにされ、砕けて軋む無残な音が、上空を飛ぶケッチにも届くほどだった、「だめだ、とても助からねぇ」…

原作:宮崎駿 / 語り:物語屋


nausicaa 『風の谷のナウシカ』第4巻 - 7        

ユパは、やってきたケチャと砂の丘に並んで空を見上げた、雲の上に、下弦の半月からすこし膨れた月がのぼっている、そしてその月をうしろにして、蟲たちが飛んでいくのが見えた…

原作:宮崎駿 / 語り:物語屋


nausicaa 『風の谷のナウシカ』第4巻 - 6        

なんとか不時着したガンシップの、なんとか無事だった操縦席から体を引っ張り出すようにのぞき出た顔を見て、ユパは、砂を駆けってきた足をさらに早めた。「ミト、ミトではないか!」「な、なんと!」…

原作:宮崎駿 / 語り:物語屋


nausicaa 『風の谷のナウシカ』第4巻 - 5        

テントに入ったケチャは頭から被っていた蟲の腸のマスクを両手でプハ! と上にはずし、「ハアッ、ハアッ」笑いながら息をつくケチャに、「フフ、ケチャ、よくがんばったわ」セライネもマスクをはずして笑った…

原作:宮崎駿 / 語り:物語屋


nausicaa 『風の谷のナウシカ』第4巻 - 4        

「樹々が石化して崩れるにしたがい空洞は上へ上へとのぼっていくはずだ、のぼりきったとき森はどうなるのであろう?」「教えてくだされ、腐海が生まれてより1000年たつ、この世界のどこかにすでにそのような地が生まれておるのか」…

原作:宮崎駿 / 語り:物語屋


nausicaa 『風の谷のナウシカ』第4巻 - 3        

完全に冷やされたままの容器の中で、押し込められていた球体たちが、プチ、プチ、突起と突起の間にヒビが、割れた裂け目から、茎のような、幹のような、ミシミシと中から殻をこじあけるように…

原作:宮崎駿 / 語り:物語屋


nausicaa 『風の谷のナウシカ』第4巻 - 2        

眼下に広がるサパタの村と、畑と、地平線の上には青い空と白い雲と、そしてさらにその先には…「いこう、南へ」南という言葉をのみ込むようにナウシカは、帽子のあご紐をキュッと締めた、肩にはテト…

原作:宮崎駿 / 語り:物語屋


nausicaa 『風の谷のナウシカ』第4巻 - 1        

「チャルカ殿、まさか…」「皇弟さまは断を下されてしまいました、このときにあなた方が解き放たれたのは天祐というべきでしょう、ご老体も、戦闘員をのぞく部族を率いて少しでも早くこの地を去ってください」…

原作:宮崎駿 / 語り:物語屋