work > 『風の谷のナウシカ(アニメージュコミックス全7巻)』

漫画に特有な擬音語など、語りでの音声化がどうしても難しい箇所の他は、
でき得る限り原作に忠実に再現したいと思っています。
映画版ナウシカしかご存じない方をはじめ、一人でも多くの方にお届けできたら幸いです。
よろしければ気長にお付き合いくださいませ。

nausicaa 『風の谷のナウシカ』第5巻 - 20        

来た、王蟲が、来た王蟲たちが、来た、ただひたすら突き進む無数の、無数の、無数の、王蟲の群れ、まさに見渡す限り、目の及ぶはるかすべてを埋め尽くして地上ぜんぶ隙間なく突き進む王蟲たちの姿しかなかった、その上を、ナウシカはメーヴェで飛んだ、…

原作:宮崎駿 / 語り:物語屋


nausicaa 『風の谷のナウシカ』第5巻 - 19        

クシャナの口元も次第にあの、ナムリスが毒蛇と呼んだ夜叉の笑みに歪んでいく、「ムコ殿の素顔を見せよ」ナムリスはさらに口元を吊り上げて「ヒヒ…」と笑った「ふしどを共にするまでの楽しみにしておけ」「牙をむく毒蛇の巣穴に裸で踏み込めるかな?」…

原作:宮崎駿 / 語り:物語屋


nausicaa 『風の谷のナウシカ』第5巻 - 18        

皇兄は皮肉に唇を吊り上げていた笑みを高笑いに変え、「ようやく墓穴から這い出してきたら国がなくなっているとはな」ユパはその笑いを諌めるように、皇兄が座る前に立ち、「なれど皇帝としての責務は残っているはず、瘴気の中に残された人民を救出せぬのか」…

原作:宮崎駿 / 語り:物語屋


nausicaa 『風の谷のナウシカ』第5巻 - 17        

テトは、ナウシカの周りで、崖に広がる草の上、転がっている石の上で、感じた、その感じるほうへ顔を向け、くんくんと鼻を動かした、瘴気の届いていない雲へとなだらかに続いている斜面の向こうから、何かが近づいてくる…

原作:宮崎駿 / 語り:物語屋


nausicaa 『風の谷のナウシカ』第5巻 - 16        

ガンシップは、やって来る王蟲たちの前を滑走していって、離陸、飛び立った上空から改めて見下ろすと、「なんという数じゃ…」地上はまったく隙間なくはるか一面すべてが王蟲の群れに覆われていた。…

原作:宮崎駿 / 語り:物語屋


nausicaa 『風の谷のナウシカ』第5巻 - 15        

バージの外にいたケチャが、窓から顔を出したクイに、「どうしたの、クイ?」と尋ねる、そのままクイは、窓の向こうに立っているケチャのマントを嘴で引っ張って、何かを伝えたいらしい、ケチャはハッと、クイに引っ張られた背中を振り返った…

原作:宮崎駿 / 語り:物語屋


nausicaa 『風の谷のナウシカ』第5巻 - 14        

そのとき、ユパは感じた、さらに奥の、廊下の向こうから、何かが来る、ユパは、両腰から短剣を抜き、左右の手にその両刀を構えて、待った、廊下の奥から姿を現したのは、サパタに残ったトルメキア中隊を全滅させた、ヒドラ、一匹ではなかった、…

原作:宮崎駿 / 語り:物語屋


nausicaa 『風の谷のナウシカ』第5巻 - 13        

テトは崖に広がる芝の緑の上で遊びはじめる、小さな虫が飛んでいるのを見つけて追いかけて飛びつこうとする、「こんなに世界は美しいのに」深い青い空を見上げてナウシカは、「こんなに世界は輝いているのに…」テトは、ナウシカの周りを、崖の緑を走りつづけた…

原作:宮崎駿 / 語り:物語屋


nausicaa 『風の谷のナウシカ』第5巻 - 12        

王蟲の指の隙間から、静かに、あの、金色の触手が、伸びてきた、一本、そしてまた次の、一本、まるで、悲痛な声で叫び訴えるナウシカを慰めようとしているみたいに、優しく、ナウシカの顔に触れてくる「小さきもの…おまえをいつも近くに感じていたよ」…

原作:宮崎駿 / 語り:物語屋


nausicaa 『風の谷のナウシカ』第5巻 - 11        

「なんだね、その光は?」もはやすっかり骸骨になりきった上人は光に手を伸ばせない、「テトです」ナウシカは答えたがその光は「ちがう、あたたかい」「はやく捨てなさい、死者が甦る!」上人だった髑髏が叫んだ。「だめなの、光っているのは私の胸だもの」…

原作:宮崎駿 / 語り:物語屋


nausicaa 『風の谷のナウシカ』第5巻 - 10        

「…どんな生命でもよろこびや充足を知っているのに、憎しみと恐怖しか知らないのです」記憶の中でナウシカとチククを乗せたメーヴェは、街や人々を呑み込んで無限に広がっていく粘菌の上を飛んでいた、「それが、人間の手がつくりだした生き物だなんて」…

原作:宮崎駿 / 語り:物語屋


nausicaa 『風の谷のナウシカ』第5巻 - 9        

足元だけでなく空気が、凄まじい地鳴りに震えだす、チククはじっと見ていた、自分が立っている道の先の、かつての集落が、家が、畑が、あっという間に呑み込まれていく、雪崩、津波、山崩れ、そのどれでもない、しかしどれと言ってもいいかもしれないそれは…

原作:宮崎駿 / 語り:物語屋


nausicaa 『風の谷のナウシカ』第5巻 - 8        

「そなた達の姫さまの謎がすこし解けたようだ」ユパは黙ってクシャナのその笑みを見つめかえし、クシャナの言葉を聞きつづけた、「だが二度と私にはできぬ、いや、真似たくもない」「猛々しい怒りを燃やしつつ、侮蔑や憎悪ではなく…悲しむなど」…

原作:宮崎駿 / 語り:物語屋


nausicaa 『風の谷のナウシカ』第5巻 - 7        

「ウホッ、姫さまなみに過激だわい!」ガンシップ後席でミトじいが叫んだ、下方に引き離された重コルベットの対空砲台から機銃兵が「クソッ」と苦虫を噛みつぶして、上空に照準を合わせようにも、ガンシップの姿は雲も空も抜けて光の中の黒い点になっていた…

原作:宮崎駿 / 語り:物語屋


nausicaa 『風の谷のナウシカ』第5巻 - 6        

クシャナは、クロトワの顔を見ようともせずに、「瘴気の中で水を飲めるだけでも感謝しろ」「殿下ももの好きですぜ、こんなタンクの中にかくれてねえで、俺なんかすててさっさと行けばいいものを」「買いかぶるな、お前のために残ったのではない」…

原作:宮崎駿 / 語り:物語屋


nausicaa 『風の谷のナウシカ』第5巻 - 5        

「あの人たち、作物の種を大量に持っていた」とケチャが言った。「新しい土地を見つけたら蒔くんだといって」ケチャは、そのあとの言葉を詰まらせて、「でも…どこへいったって…」辛そうに俯くケチャの肩に、ユパは何も言わずに手を置く…

原作:宮崎駿 / 語り:物語屋


nausicaa 『風の谷のナウシカ』第5巻 - 4        

「わたしの短気のせいでケガをさせたね」ユパの腕に両手を添えて、心配そうにユパの顔を見上げるケチャにユパは、「ケチャが怒るのは当然だ、わたしはケチャのそういうところが好きだよ」…

原作:宮崎駿 / 語り:物語屋


nausicaa 『風の谷のナウシカ』第5巻 - 3        

皇兄に巻きついていた管たちは力を失い、くたくたとその足元にずり落ちていく、「これまでか」引きちぎられたマスクの下から素顔を覗かせた皇兄は、「超常の力がないために弟に組みしかれたこの100年、ずいぶん長かったがそれも終わりだ」…

原作:宮崎駿 / 語り:物語屋


nausicaa 『風の谷のナウシカ』第5巻 - 2        

皇弟ミラルパは、集中室の浴槽の中で、浸されている薬液を大きく波立たせて引き裂くばかりに悲鳴を上げた、足の先から頭まで無数の管に繋がれたまま「イヤだ、イヤだ」赤ん坊のようにバタバタと手足をばたつかせる、その浴槽の外から「何をうなされている、弟」…

原作:宮崎駿 / 語り:物語屋


nausicaa 『風の谷のナウシカ』第5巻 - 1        

巨神兵は再び、井戸の子宮の羊水の中へ、眠りに落ちていく、沈みきるのを見届けて、男は突然、けたたましく、甲高い耳障りな笑い声を上げた、「おもしろい、気に入ったぞ、一刻も早くこいつを育てろ、こいつが歩く姿を見たい」…

原作:宮崎駿 / 語り:物語屋





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    『風の谷のナウシカ』第4巻

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    『風の谷のナウシカ』第3巻


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    『風の谷のナウシカ』第2巻



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    『風の谷のナウシカ』第1巻